漢方つれづれ日記

漢方の科学性
漢方薬でも最近、西洋薬と同じ様な手法でEBMを議論する事があります。

EBMとは、有効性にちゃんとした科学的な根拠があるかという事です。

一般的には、動物実験、人体実験などで統計をとり、有効率を調べる事になります。

こういう方法は、漢方には適合しません。

なぜなら、漢方は個性を重視していて、1人1人の治療はみな異なるからです。

同じような病気でも、体質などにより使うお薬は異なってきます。

違うお薬を使ったのに、同じ病気たからと一つの統計で処理する事は出来ません。

これは洋服を選ぶのに似ています。

似合う洋服は、その人の性別、体型、年齢、性格、顔つき、皮膚の色などで違います。

ある洋服が似合う確率といって、
年齢、性別、体型、顔つきの違う人に同じ、
同じ大きさの同じデザインの洋服を着せてデータをとったとして、
それが意味があるとは思えません。

動物に漢方を与え、その有効率を調べるのも、
これと同じくらい意味が無い事と思えます。

漢方の特徴である「1人1人の個性を重視」する方法は統計処理出来なくても、
それが科学的では無いとは言えないのではないでしょうか?

月の満ち引き
月の満ち引きと生理の周期と関係があるかは、
はっきりとは解りません。
しかし、実際に当店の不妊症の相談の方では、
満月の時と新月の時に生理が来る方が多いようです。
これは不思議な事です。

子宮や卵巣は、体の一部です。
ですから、子宮や卵巣の状態を良くする為には、
その部分だけ考えないで体全部を考えていく事が大切です。
陰と陽のバランス。
気血水の流れ。
各臓腑の働き。
これらの事を総合的に判断します。

さらに体そのものが月の満ち引きに左右されているとしたら、
とても壮大な話ですね。
症状の改善と体質の改善
漢方の効き目は、早くでるものと遅いものがあります。

漢方薬には、症状を改善するものと、体質を改善するものがあります。
症状を改善するものは、風邪に葛根湯、鼻炎に小青龍湯など即効性があります。
これに対して、体質を改善するものは時間がかかります。

体質改善のものでも、飲み始めてすぐの時に、
一時的に症状が変化する事があります。
これは、漢方の作用により、一時的に症状が変化したもので、
体質が変化してものではありません。
ですので、しばらくするとまたもとの状態にもどります。
体質改善としての本当の漢方の効き目は、
少なくとも1ヶ月たってから出る事が多いです。

お薬を絵の具に例えると
ふと、思ったのですが、お薬を絵の具に例えると、
西洋薬と漢方薬の違いが理解しやすいかも知れません。

西洋薬は、不透明な油絵の具のようです。
下地の色にかかわらす、みな同じ発色をします。

これに対して漢方薬は透明な水彩絵の具です。
下地(体質)の色と絵の具(漢方薬)の色が合わさって、独特の色が出ます。
同じ絵の具を使っても、下地の色によって出来上がる色が変わって来るのです。
だから、漢方薬を選ぶ時は体質(下地の色)を考えて使わないと、
自分が思っている発色(効果)にならなくなってしまします。

周期療法は、飲んですぐに効果がでますか?
周期療法は、ホルモン剤のように生理の周期をコントロールする方法ではありません。
生理の周期を利用して、体質改善をするものです。
例えば、ブランコをこぐ時に、ブランコの位置によって力の入れ方が違いますよね。
それと同じです。何周期か繰り返す事により、ブランコの勢いがついていきます。
そうすると、とても妊娠しやすい状態になっているはずです。
ですから、飲んだ周期から、すぐに効果が出るという事ではなく、
しばらく続けてみる事が大切です。
特に体外受精などを考えている方は、その周期だけでなく、
少し前の周期から、周期療法で体調を整える事が大切です。

引勢利導
中医学では、引勢利導(いんせいりどう)という考えがあります。
引勢利導とは、体の力、抵抗力を利用して、邪を外に追い出す方法です。

例えば、不衛生なものを食べて下痢をしたとします。
この場合の下痢は、体内の毒素を排除しようとするもので、止めてはいけません。
漢方薬などでも、軽い下剤を使い、排便を助けます。
早く、毒素が外に出れば、病気の回復が早くなります。

生理の時に子宮の中の排泄を助ける為、活血化淤などのお薬を使うのも引生利導です。

引勢利導の良い点は、体の力を利用しますので、お薬の量は少しで、効果はとても良い点です。
注意点は、お薬の量を多くしすぎない事です。

汚れを落とすものと、補うもの
漢方薬には、汚れを綺麗にするものと、栄養を補うものがあります。

病気の原因としては、
 体内に毒素や汚れが多く、それが病気の原因になっている場合。
 働き、機能の低下があり、それが病気の原因になっている場合。
の2つがあります。

漢方では、上の場合は、汚れを綺麗にするものを使います。
例えば、心筋梗塞、脳梗塞、多嚢胞性卵巣、子宮筋腫、内膜症などは上の例です。

下の場合は、胃腸虚弱、卵巣機能低下、子宮発育不全、内膜が薄いなどがあります。

汚れが多い時に、汚れを綺麗にしないで補うと、よけいに汚れが増える事があります。
子宮筋腫などで、補うものを使いすぎると筋腫が大きくなるのがその例です。

ただ、この2つは、お互いに関係してまいす。
汚れが多いと、機能が低下し、機能が低下すると汚れも多くなる事があるからです。
ですから、この2つの方法を同時に使う事もよくあります。
その場合は、主な原因はどちらにあるのかを考える必要があり、
どちらの配分を多くするかを考える必要があります。

一般的には、まず汚れを綺麗にしてから補うのが原則です。
お化粧でも、まずクレンジングと洗顔をしてから、パックや栄養クリームですよね。

ホルモン剤と漢方薬
ホルモン剤と漢方薬の違いを例えると次のようになります。

もし、失業してお金が無い状態とします。
その時に、いきなり現金をあげるのがホルモン治療です。
お金が足りないから、お金をあげるというもので、即効性があります。

これに対して、仕事を与えるのが漢方薬です。
直接お金をあげる訳ではないので、即効性はありません。
しかし、自分の力でお金を稼げるようになるので、根本的な解決になります。

仕事を与えず、お金だけ渡すと、なまけぐせがついて仕事をしなくなってしまいます。
ですので、どうしても必要な場合を除いて、ホルモン剤に頼りすぎるのは良くないと思います。
目には見えない気の働き
気という話をすると、あの気功とかで人を吹き飛ばしたりする光景を想像して、
なんとなくうさんくさいイメージを抱いてしまう人も多いのではないでしょうか?

私たちが生きているのは、気があるからです。
生物が物と違うのは、気があるか無いかの違いです。
では、気とはいったいの何でしょうか。

漢方では体の中を気というものが流れていると考えています。
気とは、目には見えないけども働きがあるものです。

昔は顕微鏡がありませんでしたから、ホルモンや自律神経、免疫などは
目には見えなく、これは、
体の中に気という物が流れているからと考えていました。

気の流れが悪い事を「気滞 きたい」とか「気鬱 きうつ」と言います。

何となくやる気がしないとか、不安感、イライラ、あせり、動悸などの症状があります。

気の流れが悪くなると、今度は血や水の流れも悪くなってしまいます。

このような状態になると、いろいろな症状が出てきます。

下痢、肩凝り、吐き気、めまいなど人によって症状はさまざまです。

このような場合、やはり気血水の流れを改善していく事が大切です。

漢方薬では、昔から気の流れをとても重要視していました。
ですから、気の流れを改善する漢方薬は理気薬(りきやく)あるいは(利気薬)と
言って、いろいろな種類のものがあります。
体質や状況に応じて、上手に理気薬を使う事が、
ストレスの多い現代社会に於いてとても大切な事です。

好転反応
好転反応について、よく質問が寄せられます。

好転反応は、次の2つがあります。

 1 病気に対する抵抗力が強くなり、体内の毒素などを外に
   追い出そうとする反応。
   よくあるのは、下痢、湿疹、頭痛です。
   
 2 体内の変化に順応出来ない場合
   今の状態が、例えあまり良くなくても、長い間にその
   状態に慣れてしまっていて、良い状態に変化した時に
   返って違和感を感じるものです。
   時間が経てば、良い状態に順応して違和感はなくなります。

この2つです。

これらの症状が出るのは、ある意味、漢方が効き過ぎているとも言えます。
ですから、漢方薬の飲む量を減らす事により解決出来ます。

もし、好転反応が出た場合は、一旦お休みして、症状がおさまったら
1日1回から飲み始め、好転反応が出ないように様子をみながら徐々に
増やしていくと良いでしょう。

卵の質を上げるには?
卵の質を上げたいという相談をよく受けます。

子宮や卵巣は中医学では腎の一部と考えます。
腎の中には、腎精というものがあり、それが卵の原料になっています。
ですから、腎精の量が卵の質を決めていると言えます。

腎精は、生まれつき多い人と少ない人があります。
また、年齢とともに少しずつ少なくなります。
ですが漢方薬を使うと、ある程度補う事が出来ます。
気や血は、補いやすく、効果も出やすいのですが、
腎精は補うのは少し大変です。
普通の生薬ではあまり効果が出なく、動物性の生薬を使います。
腎精を補うには、周期療法なども適しています。
体質によって使うものは違いますから、
どのような漢方薬が良いかは、ご相談下さい。

西洋医学と東洋医学
よく、この漢方薬はどのような病気に効くものですかと質問される事があります。
また、この病気にはどのような漢方薬が良いでしょうかと質問される事もあります。
どちらの質問にも困ってしまいます。

何故なら、東洋医学と西洋医学は全く別なものだからです。

西洋医学の診断で漢方薬を使う事は出来ません。
また、漢方薬の効能を西洋医学的に説明する事も出来ません。

漢方薬は将棋の駒のような使い方をします。
全体の局面(体質)を判断して、敵と味方(正気と邪気)の情勢を判断して
最も効率的な駒を効率的な場所に使います。
ですから、この病気にはこのお薬、という西洋医学的な使い方はしないのです。

男性不妊症は何科?
男性の不妊症は、精子の問題なら婦人科、
生殖器の問題なら泌尿器、
精神的な問題なら心療内科などで扱われています。

中医(中国の漢方医学)では「中医男科」という科目があり、
そこで総合的に扱われています。

不妊症の相談を受けていて思うのですが、
やはり男性側の問題が非常に多いという事です。
中医男科のように、もう少し専門的に男性の不妊症や
更年期を扱う所が増えてくると良いと思っています。

男性更年期
意外に知られていないのが、男性の更年期です。
男性にも女性と同じように更年期があります。
男性の更年期が女性に比べて解りにくいのは
 女性と違い生理が無いので、見た目の変化が少ない
 男性ホルモンの正常値がはっきりしない
 女性の更年期と症状が違う
 女性の婦人科にあたる「男科」が無い
などが理由です。

男性の更年期の主な症状は
 性欲の減退
 鬱症状 気力の低下
 男性ホルモンの低下による体系の変化
です。
特に、鬱症状は更年期と解らずに普通の鬱病として治療を受ける事が多いようです。

漢方的には男性の更年期も女性と同じように、腎気の弱りです。
ですから、腎気を補う事を中心に考えます。
これに気の流れを良くしたり、血液を綺麗にしたり、余分な毒素をとる事を
加えて、総合的に考えて治療していきます。

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